当然、
橋口さんの夢は美容師。
あたしの髪に触れる時はそれはもう真剣で。
普段はいつもふざけた事を言ってるのが嘘のよう。
その時だけは
男の人なんだな…って思ってる自分がいて。
「朱里ちゃん?」
「え?あ…ハイっ?」
やだ、鏡越しとは言え、橋口さんを見すぎてた。
「どした…?
疲れてる…??」
心配そうな顔。
あたしは慌てて否定する。
「あ、全然っ!!
あたし若いしっ」
なんか変な事言っちゃってるし。
「今は…まだ4時だし、
よし!今日は止めよう!」
ええっ…止めちゃうの?
片付け始めた橋口さんにガッカリしてる自分。
え…なんであたし…?
自分の気持ちに動揺してた。
「よっし!
じゃ、行くよ!!」
あたしの手をグイッと引っ張る。
「ええっ!?」
何っ!?