「 ――…では、

出席を取りまーす




えー…っと、


皆さんの顔を早く覚えたいので、呼ばれた人は返事と挙手をお願いしま~す。」







春兄ちゃんが来てからの初めての生物の授業



相変わらずのふざけた口調で喋る春兄ちゃんは、

皆からしてみれば、面白そうな先生だと思えるようだけど



私にしてみれば、
あまり笑えない…





…むしろ

知り合いであることすら、知られたくないのである…



学校では関わらないことを決めたのだけれど、

その企みも 出席の点呼によって、一瞬で失敗に終わった……








「 ―――…次は、


星野…、


 神‥かな さん…?」




何を思ったのか
春兄ちゃんは、わざと私の名前を間違えてみせたのだった…






「 ……。


 "かんな"です。」



私は手を上げながら
名前の訂正を入れる






「 あ、失礼。


"かんな"ね。


へぇ、

珍しい読み方だねー 」






わざとらしく私に向かって微笑み掛ける春兄ちゃん






嫌がらせだ…


嫌がらせ以外のなにものでもない行為だ…