「 …名前は、南 優斗です。」
「 いや、それは知ってるからっ!!」
わざとなのか天然なのかわからない第一声に思わずツッこんでしまった…
気を取り直して、
再び優斗の話を聞くこととする……
「 …好きなことは、
絵描くことで、
一応 進路は美大に進学を考えてる…。」
やっぱり私の知らない部分があった…
確かにあれほど才能があるなら美大に行ってもっと伸ばすべきだと思う…。
…私の頭のなかは今でも
あの時見た絵を鮮明に覚えている…、
たった一度、数分眺めただけにも関わらず、鮮明に思い出せる…
それだけ、
優斗の絵は存在感に満ちていた……
「 …優斗は、将来画家になるの?」
思わずそう尋ねてみると、
「 さぁ、わからない…
美術は好きだけど、
仕事にするなら 自分に何が出来るかわかんないし…、
だから それを見極めるために美大に行こうって思った…。」
真剣な表情…
そんな優斗を見て、すごいなって思った。
私なんて、まだまだ全然 将来のことなんて考えられないでいる…。
こんな私が優斗の彼女でいいのかと、
また少し不安に思ってしまった……