そんな安堵と恐怖の複雑な気持ちの中、ふとある事を思い出した。
俺に掛けられた、ママ持ちの障害保険である。
例の死んでしまった彼女が担当した保険だ。
勿論俺は掛金は支払っていなかったが、解約した覚えもなかった。忘れていたのだ。
確かに契約書には直筆でサインし、捺印もした。
後日、数日かけて知り合いを辿り、契約を交わした保険会社に自分の名前が契約者として残っているかを確認する事が出きた。
しかし俺の名は現在の契約者の中にはなかった。
更にデータには、過去にも契約者として名前が載った事はないと云う返答が返ってきた。