アタシは時間が経ってから、マリの家を出ようとした。


彼の声がして…。


アタシは、白状するしかなかったんだ。


見たくなかった。
でも、見てしまった。


今にも泣きそうだったけど、アタシは本人の前で泣く権利も資格もないから。


足早に、その場を去った。




でも…彼は、送るといって、また走ってきてくれた。


これ以上…優しくしないでほしいと思った。
これ以上…好きになりたくなかったから。



「…泣いたの?」

そう聞かれた時、目の前が真っ暗になった。



だから、アタシは、夢をみたと彼に告げた。

それは、アタシの願いだった。



夢であってほしい。

本気でそう思ったから。