結構派手にこけたはずなのに、青年はこちらに気づかない様子だ。月はじっと青年を見つめる。
シンプルなTシャツに細身ジーンズ。触ったら気持ちよさそうな金髪の上半分を結んでいる。

(綺麗な人……)

石の上で夜空に浮かぶ月に向かってラッパを吹いているその姿はなんとも神秘的で美しかった。


視覚は青年、聴覚は青年の奏でる音に支配される。

青年が最後のフレーズを吹き終わると岩影からオコジョがひょっこり姿を現した。


青年はオコジョに気がつくとラッパを岩の上に置き、手を差し延べた。オコジョはぴょんっと飛び乗る。


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