ようやくオバちゃんが湯気のたちのぼるホカホカの昼食を持ってきてくれた。

ミヤの言うとおりすごく美味しくて、私はいっきにたいらげた。

そんな私を、彼は満足そうに眺めている。

勘定は、ミヤがしてくれた。
今日のお礼だと言って。

食堂を出て商店街へ向かう。

昼過ぎの商店街はゆっくりと時間が流れ、のどかで、どこの人も気さくで、ミヤはやっぱりすぐに打ち解けていた。

しばらく商店街を歩くと小さな喫茶店を見つけてそこで休憩した。

「俺、外国ばっかで日本には全く見向きもしないでさ」

ミヤが言った。

「落ち着いたら、日本を旅するのもいいよ」

「そうだな。
 京都なんて、いいよな。
 ハルも好きそうだ」

「じゃあ、また連れていってくれる?
 ……今日みたいに」

そう言うと、ミヤは一瞬驚いた顔をして私を見た。

そしてその表情はたちまち笑顔に変わった。

「一緒に行ってくれるか?
 ……嬉しいよ」

そんなミヤを見て私も嬉しくなり、つられて笑顔になった。

コーヒーをすすると、二人で席をたった。

次に向かうところは察しがついている。

陽が、どんどん沈んでゆく。