食事が来るまで、二人で話した。
ミヤの話って、飽きない。
「カンちゃんって?」
「え?あァ、ここ、俺がガキんときからずっと来ててさ、そん時からずっと」
ミヤは、やれやれという風に笑った。
「じゃあ、ずっと住んでるの」
「まァね。
中学ン時に両親死んでさ、二人の金おりて、高校も行かずにフラフラして、半年……ぐらいたってかな、外国に行った」
「一人で!?」
「そうさ。って言っても、アジアの小さな島だよ」
ミヤにそんな過去があったなんて、と私はびっくりした。
「そっからだ。
外国に魅了されて日本に帰るなり死ぬ気で働いて、金が貯まったらスグ異国に飛ぶ」
なかなか良い人生だろう?ミヤは笑った。
私が暗黒のような人生を過ごしていた間この人は夢を見ながらキラキラしていたんだ。
純粋に、彼を羨んだ。
彼は、光輝く自由の翼、まるでゴールドの翼を持っている。
私は知らず知らずに彼に惹き付けられていたのは、きっとそこだった。