中に入ると、気だるいジャズの音楽と一緒に、いつもの奥のスペースでキッドと力也と貴志がたむろっていた。
「おッ、お姫様のご登場だ」
キッドはいつものように私にそう言ったが、私の後ろにいる男を見るやいなや、ぱっと表情を変え、驚きのあまり固まってしまっていた。
「そのお姫様を助けたのはだーれだ?」
「ミヤ!」
他の力也と貴志までもが目をまるくしている。
「よう、久しぶりだな」
そういうと、ミヤは力也の肩をポンっと叩き、キッドと力也の真ん中のソファーに腰を下ろした。
力也が興奮気味に言った。
「よく生きてたな!もう、一年になるか?」
「そうだな……しかし、ここは相変わらずだな。貴志、東大はどうだ?」
「変わった奴らばかりだけど、まぁ楽しいよ」
「しかし、こんなとこでたむろしている東大生なんてお前くらいさ!」
キッドがそう加えると、四人はどっと笑った。