「どこの国に行ったの?」

「ヨーロッパをね、転々と。ギリシャ、オーストリア、スイス、スペイン、イタリア……」

「どんなところ?」

「華やかで、芸術には持って来いさ」

「美しい国なのね」

「そうだな……。そうだ、ハル、俺の写真見てみないか?」

人懐っこい笑顔でミヤにそう言われ、私はとっさに首を縦にふった。

「嬉しいな。近々、俺ンとこに来るといい。腹いっぱい、見せてやるよ」

ミヤは満足そうに言った。

気付けばクラウンの前に来ていて、ミヤは、相変わらずだなァと嬉しそうに言い、重い扉を押し開けると、二人で店へ入った。