しばらくたったところで、私はお礼を言おうと思った。

「あの……」
「あっ!」

その時、私の背後から男の声がした。

上はTシャツ、下はジーンズに腰エプロンをつけた飲食店の店員、ミノルだった。

「……ミノル?」

「ハルじゃん!
何やってんだよ、こんなところで!」

「ミノルこそ……」

「俺は手伝いやってんだ。……ん、誰だ?そいつ」

ミノルがそういうと、その男が振り向いて言った。

「ふう……奴、まいたみたいだよ。助かったな」

きんきらに輝く前髪の下の広い二重の瞳が、安堵を含めて少し細まる。私がほっと息をつくと、ミノルがそのゴールドの男を指差して大声で言った。

「ミ!……ミヤ!?」

私は驚いてミノルを見た。

するとその男は嬉しそうに声を張り上げた。

「ミノルじゃねえか!」