腕を引かれながら、無我夢中で走る。
夕日に染まる歓楽街の大通りで、多くの人をかきわけ、少し入りくんだ路地裏に入ると、どこかの店の裏口のドアを開け、彼は私をその中へ入れてくれた。
そこは飲食店の裏口らしく、沢山の食材があって、さらに奥の半開きの扉の向こうからは炎やフライパンの音、威勢のいい声や客の声が聞こえてくる。
沢山走り回ったため息があがっていて仕方がない。
その男は半開きの扉から外の様子をうかがっていて、私に背を向けている。
広い背中のてっぺんに、夕日に光るゴールドの髪がとても眩しい。
しばらく私は、彼の背中を見つめながら息を整えていた。