けれど今日の男は違った。

私の前にでんと立ちふさがると、腕をつかんできた。

「冷たいじゃないかよ。今までもそうやって散らしてきたんだろ?でも俺は一筋縄じゃいかないからな」

その男はにやにやと笑みを浮かべながらそう言った。

私は動けず、逃げられない状態になってしまって、とっさにピンヒールで男のつま先を踏みつけてやった。

男は悲鳴をあげ、一瞬手を離したスキに私は全速力で逃げ出した。

「コラ、待ちやがれ!」

と、荒々しく男も追って来る。私は捕まえられないよう、必死に走った。

そして、角を曲がったところで後ろから急に腕をつかまれた。

しまった!
そう思ったのも束の間、

「こっちだ!来い!」

と言われ、ぐいっとひっぱられた。男だったけれど、さっきの男ではなかった。

それは、陽に光る、眩しいくらいのゴールドの髪の男。