そうやって過ごす秋のある日。

夕方六時、私はいつものようにクラウンへ向かっていた。人通りのまばらな、夕日の染まった通りを歩いていると、ふいに肩をたたかれる。

振り返ると、見知らぬ若いオトコが立っていて、

「ヒマなら、そこの喫茶でお茶しようよ」

そう言われた。

今までにそうやって何度か声をかけられたことのある私は、そ知らぬ顔をしてクラウンへ急いだ。

ほとんどのオトコはクラウンの中まではついて来ないし、入店したとしてもキッドや力也を見てはすぐさま撒いてしまうのが落ちだったのだ。