けれども透き通る、彼の優しく、熱い瞳は私に何も感じさせはしなかった。
二人で観た映画は、どこにでもありそうなラブストーリーで、私は少しがっかりしてしまった。
彼なら、もっと期待していたのに。
映画が終わり、二人で外へ出ると夕方になっていて、裏街もにぎやかになりつつあった。
貴志は私を飽きさせないようにずっと話をしてくれた。
映画のこと、音楽のこと、大学のこと……。
自分から話をしない私が相手でも、貴志は無理に取り繕うともせず、私も彼の隣にいて心地よかった。
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