「これ、ママ?」

ずっと変わらずに飾ってある、クラウンでの仲間との巨大な写真。確か私の誕生日だった。写真の中にいる私を指差して、カオリは言った。

「そうよ」

「かわいいね」

私は、カオリの隣にかがんだ。

「ママの大切な友達」

この写真の中は、永遠に青春である。不思議だ。

「この人が、カオリのパパ」

私はそう言って、写真の中で笑うミヤを指差した。

「カオリの、パパ?」

「うん、パパ」

カオリは、目をまあるくさせて、食い入るようにして写真を見つめた。そして、こう言った。

「パパ、とてもかっこいい」



それから私は職を探し、ようやく見つけたのはコーヒー喫茶だった。

朝から夕方まで、せっせと働いた。夢もなければ、頼る人もいない。ミヤや仲間のいないこの色褪せた世界を生きるのは、とても容易なことではなかった。

それでも、必死に生きることができたのは、カオリの存在があったからだった。