力也と貴志だ。
貴志が力也の肩を支えながらこちらに歩いている。
荒々しくこちらへ歩いてくると、貴志が力也の体をキッドの隣にどかっとほうった。
「ッてぇ…」
キッドの隣でソファーに倒れ込んだ力也は唇の血をぬぐっている。
そんな力也を見下ろしながら、貴志は少しつんとした声で呆れ口調で言った。
「ったく…我が兄ながら呆れるよ。機動隊に突っ込んで暴れやがるんだ」
相当揉みあったのか、力也も貴志も身体中が土や血で汚れていた。
「クククッ…、傑作だぜ…!学生運動バンザーイ!」
力也はそう言って声にならない声で笑い、手を広げて万歳をしながらキッドにもたれかかった。キッドは眉間に皺を寄せて、その手を振り払った。
「ちょっとアンタ臭いわよ!酒の飲み過ぎだわ!」
エミリーが怪訝な顔つきで力也にそう言った。
「酒だけじゃねえのさ、クスリもきめてんだ」