女一人、我が城に置いたまま、まるで所有物だといわんばかりに。

男は女のために、苦しみと共に旅へ出、女はその男の帰りを寂しさと共に待ち続ける。おかしな輪廻。

ねぇミヤ、答えはどこにあると思う?

旅先でも、カメラ越しでもない、このお城の中よ。

「……どこにでも、行っちまえばいいんだ」



時が流れれば流れるほど、景色は古くなり、色褪せてゆく。進化や移り変わりって、こんなものだろうか。私の古い記憶じゃ、とうてい追いつきっこない。

ミヤが出て行って三ヶ月。私は体調を崩してしまった。

クラウンで横になっていると、強い吐き気が私を襲い、トイレに駆け込んだ。たまらなく酸い香りの中でくらくらしていると、白井が慌ててやって来て、私の背中を懸命にさすってくれた。

彼に背をさすられながら、私は、あっ、と漏らした。

それから三日後だった。私の妊娠が発覚したのは。