「ミヤ……何言ってるんだよ」

けれど、二人の中には、答えなんて初めから一つしかなかった。分かっていた。それでも、私は自分の足で旅へ出ようとするミヤを引き止めることなんて、できない。それなのに……。

「じゃあ、ずっとここにいればいい」

私は何かに負けたくなかった。その何かは分からない。時代に抗いたい自分なのか、勝手に出ていこうとするミヤの、いつになく弱い気持ちなのか。だからせめて、私は強い自分でいなくてはならなかった。

ミヤはミヤで、そっぽを向いたまま苦しげな表情をしていた。答えの出ない沈黙。とてももどかしくて、たまらないのだけれど、いつになく二人の感情が一致しているのだということが、びりびりと骨にまで響いているよう。

「そうしたら、もうお前はいなくなっちまうのだと思ってさ」

ミヤの沈痛な声。私は、そのか細い声に、心が裂けてしまいそうな感覚に陥った。

「そんなわけ、ないじゃないか……」

「いいや。だから、俺は写真を撮り続けるのさ」

「何言ってんだよ!そんな思いまでして撮った写真なんて、好きになんかなれるはずない!」

私は、いつの間にかミヤに向かって叫び散らしていた。
写真で繋がっているこの糸を、これほど恨んだ日は、後にも先にも、ないだろう。