気がつけば陽は暮れて、私は帰りの車の中にいた。

だんだんとミヤとの時間が減っていくのが分かる。分かるのだけれど、今は夢うつつの中のようだ。何も考えたくはない。ミヤの隣が、一番の幸せだから。

私が隣のミヤを見上げると、彼はハンドルを握ったまま、私をちらりと見た。私はそれだけで思わず頬を緩めてしまう。

恥ずかしそうに片手で塀を作って顔を背ける私に、ミヤは優しく、変な奴。と言った。



夜は、ミヤの煎れたコーヒーを片手に星を眺めていた。ミヤの煎れてくれるコーヒーが、たまらなく好きだ。彼の好きなコーヒー豆は、そのままにしてあった。賞味期限がもうすぐ切れてしまいそうなのを、ミヤは好きだと言った。

「もう寝るか」

ミヤがそう言ったのは、もう深夜の一時を回っていた時だった。

「怖いよ。寝たら、きっと覚めちゃうんだ」

私はずっと就寝を伸ばしていた。そんな私を、ミヤはたまらず抱き寄せた。でも逆に、私はやっぱり永遠に眠りたくはないと思ってしまうのだ。

「朝になったら、ミヤも消えてしまうんでしょ」

私は、ミヤの胸の中で言った。