ミヤは、しばらくして、カメラを片手に歓楽街へ行ってしまった。残った私は、無造作に開いた彼のトランクからアルバムを見つけた。真っ白のシンプルなアルバム。

そっと開くと、そこには南国の写真が沢山詰まっていた。私は異国には疎いけれど、たぶん東南アジアとか、そんな感じ。みんな肌が真っ黒に焼けている。

情熱的な香りがする風景なのに、写真はどこか寂しい。ミヤの心が、そうさせるのだろうか。

お城の中、彼の撮った沢山の写真の中で、私はいつしか眠ってしまっていた。

ふいに目を覚ますと、辺りは真っ暗で、しまった、と私は呟く。背中には、しっかりと毛布がかけられていて、半起きの体をよじると、隣には寝息をたてているミヤがいた。

私は思わず、ふっと笑ってしまった。子どものような寝顔。無造作なゴールドの髪を指先で絡ませる。ミヤは眠ったまま。私は彼の寝顔を見て安心すると、再び眠りに落ちた。



どこに行きたい?とミヤが尋ねたので、私は迷わず海と答える。

二度目の海。冬の海。

車の中では、他愛ない話をしていた。彼はクラウンへ行っただろうか。キッドとエミリーと、ちゃんとサヨナラしてきただろうか。ミヤは、仲間を亡くしたのは二度目だ。マサ、と言ったっけ。キッドたちの死も、こいして封印されていくのだろうな。