翌朝目を覚ますと、私は裸のままで、布団が何枚もかけられていた。顔をあげると、上半身裸のまま、背中を向けてミヤがタバコをふかしている。何だか嘘みたい。でも、夢じゃなかったんだな、なんて。

「……もう、行くの?」

ミヤが、ゆっくりと振り返る。

「おはよ。安心しろ、今日は一日、ここにいるからよ」

ミヤはすごく穏やかな笑みを私に向けた。

「いつまで?明日?」

「さあな」

私のいっぱいの焦燥感を、ミヤは笑いながらはぐらかすと、立ち上がった。するりと抜けてしまう、ミヤお得意の笑顔と身のこなし。

どうして?なぜ無頓着でいられるの?一人で苦しい思いして、どうしようもなくて、どこか遠くにいるミヤにすがることのできなかった自分が、悲しくなった。ミヤは、やっぱり前ばかりしか求めないのだろうか。足元の私よりも。

頭の下にある枕を、思い切りミヤに投げつけてやった。

「いてぇっ」

驚いた顔をして、私を振り返るミヤ。

「今まで、どこにいたんだよ!今さら、ノコノコ顔出さないで!こっちの苦しみも知らずに!」

突然怒鳴り出した私を、ミヤはいっそう目を丸くしながら見つめる。こんなに感情を爆発させる私は、彼でも初めて見るだろう。でも、私はそんな余裕はないくらいに、胸のヘドロを彼にぶつけてやった。