それから帰る支度をし、外に出ると、外では激しいデモ抗争があっていた。
道路一面に散らばった多くの学生が、機動隊と、鉄パイプや棒を振りかざして暴れている。辺りは一面にホースで水が撒かれ、地面は歓楽街のショッキングカラーのピンクやイエローで幻想的に染まっていた。
沢山の怒声や悲鳴と共に、そこらじゅうには血だらけの人が多く倒れている。デモが激しくなっていると、いつしかクラウンで話があった。今日はクラウンにミノルの姿がなかったので、今、この中のどこかにいるのだと思うと、少しぞっとする。
足早に去ろうと思っていたとき、足元にメットをかぶった学生が倒れ込んできた。
「!」
驚いて足が止まったときに、メットをかぶり、バンダナで口元を隠した男子学生が横からやってきて私に叫んだ。
「オイ!ここにいちゃ危ねえ!裏口から……」
その時だった。彼の後ろから機動隊が彼の後頭部を思い切り棒で殴り、彼は倒れてしまった。
「きゃ……」
それを合図に、他の男たちと機動隊とが叫び合いながら、また殴り合いが始まった。私は目の前で繰り広げられている恐怖に、思わず立ち尽くしてしまっていた。
「早く……!」
機動隊から地面に押さえつけられている男が、再び私に叫ぶ。
「逃げろ!!」
私の体がビクッと反応し、気付けば振り返って走り出して、その戦場を後にしていた。