「友達、いねェのか」
「……うん、何でだろうね。昔からずっと。私にはクラウンしかないもの」
「怖いんじゃねェのか」
「……え?」
私は思わず聞き返してしまった。
「向こうがよ、ハルに自分の外ヅラ見破られそうで、ビビってんのさ」
そんなこと、考えてもみなかった。ただ自分は、非社会的で親しみにくい人間だと、そう考えたことしかなかった。
「分からないよ」
「……そうか」
力也は、ソファーの上に散らばったタバコを一本、無造作に手に取った。
「私を仲間に入れてくれるなんて、皆も物好きだね」
私がわざとらしくそう言うと、力也はへへっと弱く笑った。
「お前みたいに真っ直ぐで素直な奴が、俺たちには心地いいのよ」
私は黙ったまま、力也のつけたタバコの先の火を見つめた。