今やクラウンには、屍のような、まるで魂の抜けた力也がソファーで項垂れているだけだった。もう何日もこうしていると、白井が言っていた。力也にとってキッドは親友であり、腕白な仲間であり、恩人でもあった。
テーブルの上には、無造作に散らばった薬のクズ。私は、ミヤの居なくなった直後の自分を思い出している。
「……ハル」
幻覚の中で、力也が私の名前を呼んだ。
「……なあに?」
「学校……、楽しいか」
「エ?何だよ、突然。大学は、もう、行ってないよ」
「……辞めたのか」
力也は背もたれに力無く寄りかかったままだ。
「辞めてないよ。でも、行ったってつまらないんだもん。友達だっていないしさ、……いいんだ、上京するための口実だったから」