決して帰らぬ過去が、そこにはあった。
私はおぼつかない足取りで、その写真の前に立った。
額縁の奥には、グレーに染まった私たちがいる。
一番手前で笑っているミノルの向かいのソファーにはキッドとエミリー。カメラの正面の奥のソファーに腰掛けた力也の隣には、明るい髪のミヤ。
彼の笑った大きめの口と、幅の広い二重瞼。私はそれらを、優しく、そっと指で撫でた。一つ一つが、愛しくて仕方なかった。心もからだも、嫌というほど彼を欲していたし、彼以外は受け入れられなかった。
ミヤ以外を拒絶してしまう私の中の穴の大きさを知って初めて、今まで孤独だった私がどれだけ彼に依存していたのかが分かった。
そうして、今まで通りすべてを脱却して真っ黒に塗り潰そうと努力をするのだけれど、ミヤのゴールドだけは、私の黒を弾いてしまうのだった。
正確に言えば、彼が私の色を取り込んで、ゴールドに染めようとしてしまう。
今までミヤがそうしてきたように。私を闇から救ったように。
それでも今は、それを恨んでただ泣くしかなかった。
おとなしく黒に染まってくれれば、私はどれだけ救われたろうか。