「いつでも、飛んでくるって言ったじゃないか……」

ぎゅう、といっそう写真を顔に押し当てて目をつむると、涙が頬を伝った。
キッドが死んで、私は初めて涙を流した。カラカラに乾いた瞳が、じいんと痛む。

心が潤いを欲するように、涙がどんどん溢れてきた。
ただ、今は、声を殺して咽び泣くことしかできない。

ふと、お城の扉が、かすかに開いていた。隙間の中から光の煌めきが射し込んでいる。何かに惹き付けられたように、私はその少しの隙間を見つめた。まるで手招きをされているようだった。

ミヤが去ってからその部屋を開けたことがなかったのだけれど、私は襖に手をかけた。

ちょうど真ん中に立って、両手で大きく左右に開いた。すると射し込んだ夕陽で目の前が真っ白になった。私は無意識に目をぎゅっとつむった。

ようやく目が慣れ、ゆっくり瞳を開けると、目に飛び込んできた風景に私は思わずへたりと座り込んでしまった。

そこにあったのは、壁に貼りつけられた無数の歓楽街のモノクロの写真と、目の前には額縁に入れられた、大きな大きな、クラウンでの集合写真。