ミノルはここの最年少で十八、まだ高校生だ。ひょうきんな彼も今日ばかりは落ち込んでいるはずだ。

いつもなら洒落をきかせて
「姐さんのための極上コーヒーお持ち致しました!」
なんてエミリーのご機嫌を取るのだけれど、今日は黙ったまんま私とエミリーの目の前のテーブルに静かにコーヒーを置いた。

よほど傷心してるとみた。

私の隣の席に腰を下ろしたミノルの横顔を見ると、なんとも痛々しいひっかき傷が刻まれてあった。

じっとその傷を見つめている私に気付くと、ミノルは肩をすくめて弱々しく笑った。