二人を惜しむメロディーが色を戻しつつあった。
ねえ、二人で相変わらずジャズを聴いてる?

勢いよく扉の音がして、ミノルが騒々しくやって来た。

彼は血相を変えたまま、何も言わずに私たちをそれぞれ見つめた。

「……嘘だろう?言ってくれよ、嘘だってさァ!!」

彼は荒々しく、それでも切実なくらい、私たちへ訴える。
静かに、首を横に振る貴志が小さく視界に入った。

カウンターでは、声をあげながら突っ伏して泣き崩れるゆんと、背中を撫でる、曇った顔の白井が。

キッドが自分自身に、莫大な保険金をかけていたと知ったのは、随分あとのことだった。