二人の温度差は、いたいくらいに感じている。
けれど私はこうやって叫び散らすしかなかった。
「せめて他の皆にも顔見せなよ!
勝手に、姿眩ましたままなんて、あんまりだよ、身勝手すぎるよ!」
叫ぶ私にキッドは何も言わず、その瞳の奥は暗く、濃い色をしていた。
「……ミヤみたいに、消えてしまうの?」
不安をぎゅう、と凝縮したように私はそう尋ねる。
キッドは少しはっとしてみせた。じわじわと、瞳の奥が正気を取り戻している。
「そんなわけあるか。俺はこの時代と街が大好きなんだぜ。一生、ここで遊んで暮らすさ」
寂しく笑った。
「でもねキッド」
私の声は落ち着きを取り戻した。口から舞う白い息は柔らかく、すぐに消えてしまう。
「私、分かったんだよ。
いつまでもこうして生きていけない、時代だって、逆らえないんだ。人の心にも」
キッドはまた、口をつぐむ。
その代わり、悲しそうな顔をしていた。