私は分からないというふうに首をかしげた。彼女は、目をぎらりと光らせた。それだけで、私はどんな話かすぐに察することができた。

「女にまかれたんだよ」

エミリーはそう言うと、タバコをくわえてフフッと笑った。曇った煙が薄く舞った。

「ミノルが何かしたの」

私がそう尋ねると、エミリーの隣で雑誌を読んでいたキッドが顔を上げて言った。

「違うさ、悪いのは女のほう。何でも女には男が沢山いたんだってよ。ミノルは、カネヅルだ。そして金がなくなった途端…ポイさ」

それを聞いたエミリーはすっとんきょんな声をあげた。

「カネヅル!?あんな貧乏学生をかい!?馬鹿な女だよ!」

「ミノルもミノルで引き際が悪かったみたいでサ、あの傷が物語ってんだろ」

そう言うとキッドはへらっと笑った。