「女の私たちなんて、眼中外ってこと?」
そう言うと、エミリーは指にタバコをはさめたまま、皮肉っぽく言った。
「眼中外の方がいいわ、敵対心剥き出しなのよ。
若いコはエネルギッシュね」
すると、キッドが立ち上がりながら言った。
「さてと、お気に入りの曲でもかけてもらうか」
そう言ってカウンターに行くキッドの背中を、軽く睨むエミリー。
「いいわね、もてる男は。
他の客がリクエストした曲がキッドの嫌いな曲だったら、あの女、そんなレコードはありません、なんて言うのよ」
軽くかっかするエミリーは、心底可愛らしい。
「ミヤがいたら、あのコ、きっとイチコロさ」
「……そうかな?」
そう言ってカウンターを見てみると、顔を赤くしながらキッドと談笑するゆんがいた。