「いや……ミヤがいなくなって、俺、カッカしてたろう。
けどさ、お前は冷静にあいつの帰りを待つ、って言ったんだ。
俺には、到底できねェよ。
なんつうか……やっぱりお前は、ミヤの女だな」
生真面目に言うキッドの言葉が、砂漠のように枯れ果てた私の心にすうっとなじんでゆく。
ミヤの女。
そう、ミヤの女として、生きてゆく。
「ありがとう」
そう言うとキッドは、顔を背けて、よせよ、と言った。
私の枯れた心と共に、色づいた葉も散っていく。
厳しい冬を耐えれば、きっとまた、鮮やかに咲ける。
「クラウンに行くか」
「うん」
そう言って、一歩、踏み出した。