「考えられねえな」
タバコをふかしながら、キッドは不機嫌そうに言った。
泣きじゃくり、もうどうしようもない私を見かねて、白井がキッドを電話で呼び出したのだった。
「どうしてお前を置いていく?……黙ったままで。いかれてるぜ」
ジャズの流れていない昼間の店内で、ミヤを強く批判するキッドの声が響く。
「全てを断ち切って、ハルを悲しませてまでどうして写真に執着する必要があるんだ?
俺には考えられねえな」
いつもはクールなキッドのトーンが、自然と増していた。
身勝手なミヤに、イラついているのがすごく分かる。