夢から覚めたのは、クラウンの扉の閉まる重い音のせいだった。
窓から差し込む光は、まだ白んでいて、外は朝方だった。
店内は少し明るいのに、入りくんだ、この一角にあるスペースは、薄暗い。
完全に目が覚めた私はソファーに座り直し、ぼうっと机を見ていた。
ひどい夢を見た。
あんな弱いミヤは嫌。
あの目の覚めた扉の音は、白井だったのだろうか。
そんなことを考えていると、机の上にある一枚の紙切れと鍵に気が付いた。
それは、写真だった。
おもむろにそれを手にすると、裏面の隅に筆記体で何やら記してあるのが目に入った。
『KAORU MIYATA』
カオル・ミヤタ……
ミヤタ・カオル……