靴を脱ぎ、部屋にあがる。
すると、この間は殺風景だったミヤの部屋は服や本や沢山のアルバムで散らかっていた。
「ごめんな、散らかってて」
ミヤはそう言いながらそれらを隅に押しやった。
「いいよ、押しかけたのは私の方だから」
私がそう言うと、ミヤは微笑んで台所へ行った。
「コーヒー入れるから、適当に座っててくれ」
言われたとおり、ミヤの毛布を少しどけてテーブルの前に腰を降ろした。
毛布には、真っ白な表紙をしたアルバムが埋もれている。
手に取り、ひっくり返してみると「新宿遊戯」と、達筆というより走り書きのような字で書いてある。
開いてみると、最初のページには歓楽街の雑踏した夜の風景の写真が貼ってあった。
間違いない、この間二人で撮りに行った写真だ。