改札を抜けたキヨミちゃんに叫ぶと、彼女はそのまま立ち止まった。

「写真、撮ってもいい?」

私の問いかけに彼女はしばらく動かなかった。

少し間があったあと彼女は振り返り、私はすぐにカメラを構えた。

寂しさと悲しみの混じった笑みを浮かべる彼女は、やっぱり魅力的で。

カシャッとシャッターを切る。

その時、レンズ越しに光るものを見た。

彼女はそれを拭い、そのまま振り返って遠くへと、人混みの中へ消えてしまった。

一人、この歓楽街から去ってしまった。

彼女は今何を思い、どんな未来を思うのだろう。

彼女を見届けたあと、私は出発する列車の音を拒むかのように足早でそこを去った。