定刻がどんどん近づく。 もう行くね、とキヨミちゃんは言い、立ち上がった。 「たまには田舎にも帰ってきなよ」 キヨミちゃんは寂しく笑ってそう言い残し、私に背を向けてさっそうと歩き出す。 その背中に、私が初めてこの地に足を踏み込んだ日を思い出した。 右も左も分からない私はキヨミちゃんのアトを追うのが精一杯で。 気付けばこの街に馴染んだとき、彼女はこの街を去ってゆく。 「キヨミちゃん!」