その日はミノルがデモに参加し、クラウンにはキッドと力也と貴志がいつものように席を囲み、安酒とジャズに酔っていた。

ミヤは、珍しくいなかった。

写真でも撮っているのだろうか。

夜の街を舞うミヤを想像して、行きたかったなァと肩を落とした。

今日はトイレに行った時知らない男にしつこくされたのを力也が助けてくれた位で、何もなかった。

ミヤのいない空間が、そしてそのクラウンでさえも、だんだんとつまらなくなってゆく感覚を覚えて私は自分に嫌悪した。

ゆらゆら揺れるタバコの白い煙に魔力をみた。

私はそれを、横目で睨んだのだった。