夜になるとキヨミちゃんはいつものように隙のない化粧をし、美しい服を纏い、仕上げに香水をふって、最後の夜を満喫しに歓楽街へと赴いた。

私にもきっと、大人になってこの街から身を引く時が必ずやって来るにちがいない。

たとえそれがどんな形であれ。

大人には、なりたくない。

けれど、この痛みとは別れたい。

この痛みが癒える時、きっと私は大人になっているんだ。

そう考えていると胸の中がもやもやし出して、私はそれを掻き消すように思い切り扉を開けて、ライカ片手にクラウンへと足早に向かった。