その日はずっと日が暮れるまで、お酒を飲みながら二人で語らった。
クラウンの話をすると、彼女は目を細めて黙って聞いていた。
いつしか、話はミヤのことになった。
「ミヤって、どんな男なの」
キヨミちゃんは肘をつき、興味津々で私に尋ねた。
「自称、さすらいの写真家。
カメラ片手に世界を巡ってるの」
「世界を?すごいねェ」
そう言ってキヨミちゃんは感嘆したように目を丸くさせて言った。
私は自分のことのようにますます嬉しくなって、話を続けた。
「そうだよ。
ミヤはいつも異国のニオイがしてすごく魅力的なんだ」
「へぇ……ハルはそいつに惚れてんのかい?」
キヨミちゃんは目を細めて微笑みながら、そう尋ねた。
胸の中に温かいものがじわじわと広がるのが分かった。
私、ミヤのことが大好きなんだ。
「うん。ものすごく惚れてる」
キヨミちゃんはあたたかい笑みを浮かべて、
「大事にしなよ。
オトコも自分も」
そう言った。
「キッドにあんたを任せてよかったよ」
そして、独り言のように呟いた。