こっちへ来て、と隣の部屋から声がした。 右手の部屋へ行くと、小さい部屋があった。 「ここがハルの部屋だよ」 六畳くらいの小さい部屋で、広すぎず私にはぴったりだった。 南側には窓がついていて、左の隅には小さい机と電気スタンドが置いてある。 向かいの壁には三段の本棚がついていて、上の二段には沢山の本で埋め尽くされていた。 安部公房、泉鏡花、国木田独歩、太宰治、坂口安吾……。 そして私の大好きなドストエフスキー……。