しばらくして私はふっと漏らした。

「……京都、いつ行こうか」

ミヤは目線を上げたまま言った。

「そうだなァ……秋もいいけど、冬ってのもいいんじゃないか?」

「冬……銀世界の古都、いいね、いいよ」

先日読んだ川端康成の古都が脳裏に浮かび、私ははしゃいでそう返答した。

しかし、ミヤからの返事はなく、その横顔はぼうっと夜空を見上げていてどこか上の空だった。

その瞳は寂しげで、いつもの煌きは星空に吸い込まれてしまったように、どこかへ失われていた。