気付けば店内は客が減っていて、時間もだいぶ遅くなっていた。
キッドと力也はめくりの金も尽き、ハンティングと言う名のかつあげに出掛けた。
ミヤと貴志はすでに帰っていて、ここには私をエミリーとミノルしかいなかった。
「あんたさあ、女はもういいの?」
エミリーが黒に染め直したボブの毛先を弄びながら、つんとした声でミノルに尋ねた。
「デモ運動が恋人さ」
「くっだらない」
そう言い放つと、今度は私をちらっと見た。
「良かったね、ハル。
ミヤは貴志より数倍いい男さ。
アタシも昔から知ってるけど、あんなに色男だったアイツがハルにメロメロだよ。
大丈夫、信じてやんな」
「まさかミヤがハルに恋するなんてな」
「捨てられた男が何言ってんだよ」
ぴしゃりと言うエミリー。
二人のコンビは大好きだ。
くすくす笑う私を見て、幸せそうだ、とエミリーが呟いた。
店を出て、ひんやりする歓楽街を歩いていると、噴水のところにゴールドの髪の男が座っていた。
私はライカを握り締めて彼の元へ駆け寄った。