注文を待っている間、キッドが立ち上がって、カウンターで私の大好きな曲をかけてくれた。

するとミヤが席を立って私のところへ来た。

「ハル、俺からのプレゼントだ」

ミヤの手には、いつも彼が首にさげているライカがあり、私は驚いてミヤを見た。

「オイオイ、高そうだけど……いいのかよ?」

ミノルが興奮気味に言う。

「構わねえよ」

ミヤはそう言い、ためらう私の手にしっかりとライカを渡した。

驚いてそのキラキラひかるカメラを見つめる私の頭を、ミヤがくしゃっと撫でた。

嬉しさと驚きのあまり、私は半分固まっていた。

「ねえ、アタシが言うのも何だけどさ、久々に全員揃ったんだ。

 そのカメラで写真撮ろうよ」

エミリーの考えに、力也はいいねェと言い、カクを運んできたボーイの白井にシャッターを頼み、全員いつもの席について写真を撮ってもらった。

これはいい記念になるぜ、そうキッドは言った。

「ホラホラ、ミノル、かがまねえと貴志が見えねえ!」

「限界なんだよ!」

「いいよ、ミノルなんか。なア、ハル」

ミヤの言葉にみんな笑った。

「オラ、撮るぞ――」