「なァ、ハルはやっぱり春生まれなのか?」
前を見たまま、ハンドルを握るミヤはそう言った。
「ん?違うよ。十一月二十日」
「二十日?あと三日じゃねえか!
いくつになるんだ?」
「十九だよ」
「そうか……俺と四つ違うんだな。
それより……アキじゃないんだな、名前」
「まあね、いいんだ。
気に入ってるから。
ミヤは?
夏ってカンジがするよ」
「当たり、夏さ」
ミヤはニカっと笑う、そう、この笑顔。
眩しくって夏にぴったり。
「七月?」
「ブーッ。
八月、惜しいけどさ」
「惜しくなんかないよ。
夏は七月と八月だけだもん」
「誕生日、八月一日だからさ。
何だか、おしいだろう?」
私は、くだらなくて笑った。
つられてミヤも笑っていた。