キヨミちゃんに付いて角を曲がると、裏の路地に出た。
そこは表通りとは違ってスモークがかかっているかのように灰色に染まっていて、夕日に照らされて少し温かい色をしていた。
ひんやりするほど静まり返っていて、建物自体が眠っているかのようだった。
ここが、私の待ち望んだ歓楽街。
吸い込まれていくかのようにして奥へ奥へと進んでいくうちに、私の胸が好奇心と、少しの恐怖でドキドキ高鳴っているのが分かる。
右を見ても左を見ても、あちらこちらのコンクリート造りの店はシャッターが下り、色のないネオンは夕日に照らされて橙色に光っている。
これから始まるこの街の寝覚めのために、働く人たちが、ちらほらのんびりと移動をしている。
他人を寄せ付けないような、先ほどの表の女性たちとは違った倦怠感や、独特の雰囲気はむしろ私をほっとさせた。
散乱する紙くずや空き瓶を時々蹴りながら、真っ暗になってしまえばこの街は、どんな風に鮮やかになるんだろう、と思うと、少し胸が弾んだ。