私は昔から『秘密基地』って大好きだ。

そこには子供しか入れない世界が広がっているから。

儚さと懐かしさが共存した響きを持っているから。



「行く!」

私は柄にもなく手を上げてはしゃいだ。



「良かった~。」



柊くんは嬉しそうな顔をした。



「こっちだよ。」



柊くんに続いて商店街の横道に入ると、そこには短い階段があった。

狭い階段。

2人で通るのがやっとな階段を1列になって上まで上った。