私は隣に座って柊くんの唄を聞いてる時間が好きだった。

その空間は私の特別席だった。





それに…。

それに、私は初めて柊くんの唄を聞いた時から、彼の唄の大ファンになってしまったから。







その時、私の鼻に冷たい何かが当たった。



「あっ、雪!!」



母親に手を引かれた男の子がはしゃいでいた。



私はセーターから手を出して、雪を一粒つかまえた。

カイロで暖まった私の手のひらで雪はすぐに溶けてしまった。



柊くんは気付いていないのか、ずっと唄い続けていた。