「でもね、だからって私のことを大切に思ってないってわけじゃないの。」



柊くんはいつだって、私のことを考えてくれていた。



「『一緒に行く』

って私が言ったら、柊くんはきっと連れていってくれた。

でも…、そうすると柊くんは『唄うこと』だけを純粋に頑張ることが出来なくなっちゃう。
生活のために唄わなきゃいけなくなっちゃう。

それは私が嫌だったんだ。」



成功する保証もないのに私を幸せに出来るか分からないから

『一緒に来い』

って柊くんは言わなかった。